こんにちは。本日はよろしくお願いいたします。早速ですが、成蹊中高の帰国生受け入れ体制について教えてもらいたいと思います。まずは中学1年生の国際学級について。現地校、インターナショナルスクール出身者は、中学1年生の時は他の子たちと別クラスになるのですよね。R.Yさん、国際学級があって良かったなと思うことはありますか?
R.Y 日本の学校に通うのが初めてでしたので、国語や社会の授業に対しての苦手意識があり正直不安でしたので助かりました。また、国際学級の授業は少人数制で同じような事情の子も近くにいて心強いし、授業でわからないことがあったらその場で教えてくれるので有難かったです。
英語の授業はどうでしたか?
R.Y 授業はネイティブの先生が教えてくれて楽しみながら学べました。一般の中1の子たちの授業と内容は全然違うと思います。
それは良いですね。A,B,Cからだとちょっと苦痛かなと思いますので。 海外と日本は違うので、人によって習っていたり習っていなかったりというのが教科によってあると思います。Y.Sさんは心配な教科はありましたか?
Y.S 私は、理科と社会でした。何もわからない状態で中学に入学したので授業についていけるか不安でした。
初めは苦労しますよね。先生方は個別に面倒を見てくれましたか?
Y.S はい、想像以上に助けてくれました(笑)。授業内ですぐに質問できますし、学校生活の面でも優しくサポートしてくれました。
それは良かったですね。T.Sさんは生まれてからほぼずっと海外生活ですよね。また4月入学ではなく編入学なのですよね。日本に馴染めるか心配だったと思いますが、国際学級の雰囲気や周りの友人などはどんな感じでしたか?
T.S 途中から入学したので、はじめは日本の文化についていけるか、友達ができるかなどとても不安でした。でも国際学級では海外の学校と同じ雰囲気で想像以上に同じ価値観を持っている子が多く、寛大に受け入れてくれました。
やはり育ってきた環境が近しいと馴染みやすいですよね。勉強面で最初に苦労したことはありますか?
T.S 海外では先生の話を聞きながらノートをとる板書の習慣がなかったので慣れていくのにとても苦労しました。でも日本語の習得という点で板書は役に立ったと思います。
今はもう大丈夫そうですね(笑)。それでは次は中学2年、3年生の頃を思い出してもらいましょう。国際学級は中学1年次のみなので、中学2年生からは一般の子たちと授業も一緒になるのですよね。ただ、英語は「帰国生英語特設クラス」があると聞きました。皆さんこの特設クラスで勉強していたのですよね。ネイティブの先生による授業が多いなど、この英語のクラスの特徴を教えてもらえますか?R.Yさん、お願いします。
R.Y 特設クラスは、ネイティブの先生の授業と日本人の先生の授業が2種類あります。ネイティブの先生の授業は週4回、日本人の先生の授業が週2回でレベルは一般クラスより高いと思います。
Y.Sさん、印象に残っている授業があったら教えてください。
Y.S 印象に残っている授業は、哲学的な授業ですね。とても刺激を受けました。例えば「地球温暖化は本当に起こっているのか。」というテーマで議論したり、レポートにまとめたりしました。当たり前に英語を話し、その中で社会を学ぶので中々大変です。レポートはもちろんすべて英語ですし(笑)。
ありがとうございます。T.Sさん、別の話や補足があればお願いします。
T.S 日本人の英語の先生の授業でも、ディベートやプレゼンは活発に行いましたね。海外インターの教育方針に似ていてグループ同士で話し合うことが多く、演劇やポスター制作を行いました。
ありがとうございます。
◆国際学級について◆
国際学級における目的の1つは、海外での学習経験を生かしつつ、日本の教育にも慣れていくことです。海外の教育環境は日本とは大きく異なり、それゆえ帰国後の学校生活に不安を感じる帰国生も少なくありません。国際学級では、そのような不安やギャップを解消し、日本の教育に早期に適応できるように、15名という少人数で、一人ひとりきめ細かな指導を行っています。またカリキュラムも日本への早期適応をめざし、国語に重点が置かれています。また、学校行事、生徒会活動、クラブ活動などは、一般学級の生徒と共に参加します。
続いては、成蹊中高が用意してくれている様々な教育プログラムの話を聞かせてもらいましょう。Y.Sさんはチョート・ローズマリー・ホール校のサマープログラムに参加されたとか。いつ行かれたか、また印象に残っていることなど聞かせてください。
Y.S 昨年の6月末から1ヶ月間参加してきました。アメリカに戻ることができて嬉しかったです。また、少人数でハイレベルな授業を受けることができたので良かったです。あと、初めて家を長期で離れて寮で生活をしたのですが、寮の先生が困ったときにすぐ助けてくれて頼りになりました。現地の生徒たちとも交流を深めることができてとても楽しかったです。
成蹊では海外で学ぶための学習支援体制も充実しているのですよね。R.Yさんはこれからアメリカのセントポールズ校に留学すると聞いています。こちらはアメリカ屈指の全寮制私立高校のひとつですよね。学校のパンフレットを見たら、留学プログラムの前に、英語で授業を受けるスキルをつけるための「アカデミック・スキル講座」というものがあると書いてありました。講座には参加されたのですか?
R.Y はい。参加しました。
講座内容を具体的に教えてもらえますか?
R.Y 中3から高1の春まで週1回放課後に受けました。トピックが与えられ、それについて調べ学習をしてプレゼンをしました。また、ネイティブの先生と一緒にオールイングリッシュでポットキャストを作りました。
面白そうな講座ですね!今はワクワク感でいっぱいだと思います。楽しんできてくださいね。
T.Sさんは、TOEFLやSAT講座に参加されているのですよね。将来は海外大学への進学も視野に入れているのですか?
T.S そうですね。一応選択肢は多いほうが良いと思い国内の大学と両方考えています。国内は東京大学などの国公立、もしくは有名な私立大学への進学を目指していきたいです。
それでは講座に参加しているのは英語のスキルアップや、推薦での大学進学も見据えてのことですね。
T.S そうですね。TOEFLとSATは必要になると思います。無料で週1回放課後に受けることができるので参加したいと思いました。
学校でTOEFLやSAT対策をしてくれるのは助かりますね。R.Yさんは、留学関連以外でも様々な活動に関わっていると聞きました。スタートアップキャンプ、コーポレートPBLの栄養ドリンクのパッケージデザイン、校長の歴史散歩ですか。また、寺子屋子ども食堂で英会話も教えているとか。バイタイリティに溢れていますね。まず、スタートアップキャンプについて教えてください。これはどういったプログラムなのですか?
R.Y スタートアップキャンプは、長崎の五島列島で行った研修で島が抱えている問題について、自分たちで事前に考えていた課題を島の方々にヒアリングし、その課題を検証して、解決策を考えプレゼンする探究活動です。中学生から高校生まで幅広い層の生徒が参加できるもので、私は高1のときに参加しました。島の人の温かさや優しさが感じられ、東京では味わえない新鮮な経験ができました。
それでは栄養ドリンクのパッケージデザインの活動についても教えてください。企業とコラボレーションしたのですか?
R.Y はい。「●●のラベルをデザインしよう!」というコラボ企画です。若年層も飲んでみたいと思うようなパッケージについて考え、企業の方の前でプレゼン大会も実施しました。多くの人に受け入れられるよう、自分にはない視点も含め多角的に物事を考えるのがとても楽しく達成感がありました。また、出来上がったものはホームカミングイベントや文化祭などで声をかけながら販売しました。
貴重な経験ですね。校長の歴史散歩についても教えてください。
R.Y 歴史散歩は校長先生と一緒に三鷹・武蔵野市といった身近な地域をまわり、文学や歴史の側面から理解する企画です。太宰治にゆかりのある場所や井の頭自然文化園内にある彫刻館で作品を鑑賞したりしました。様々なものにふれて知識を深めることができ、こちらも貴重な経験が出来ました。
本当に積極的ですね。それでは文化祭や部活動の様子も教えてもらいましょう。成蹊の文化祭は「蹊祭(こみちさい)」と言うのですね。Y.Sさんは、蹊祭(こみちさい)でクラス責任者を務められたのですよね。素晴らしいです。大変な部分もあったと思いますが、成蹊の文化祭の特徴を教えてくれますか?
Y.S クラス責任者は毎年担当していて今年で4年目になります。文化祭は中高合同で行うのですが、中学、高校でそれぞれイベントステージがあったり、近所のお店とコラボ模擬店を出したり賑わいのあるお祭りです。中3はイベントステージでダンスの披露が定番になっています。
クラス責任者として大変だったことや勉強になったことがあれば聞かせてください。
Y.S クラスで計画書を作成して学校に提出をするのですが、実施内容や予算など、きちんと作成しないといけないのでまとめるのが大変でした。特に計画書を提出するときに学校から了承してもらえるか緊張しました。また、文化祭の準備は夏休み前から始めないと間に合わないのでスケジュール管理が大変でした。
準備は大変だと思いますが、今年も楽しんでくださいね。お待たせしましたT.Sさん。所属されている部活動を紹介してください。
T.S バスケットボール部です。週4日でハードな練習をしています。僕が中学1年生のときはコロナ禍で練習ができない時期もありましたが、今はマスク無しで練習ができています。
次の大会はいつですか?
T.S 高2の冬に新人大会があります。トーナメント制なので1回戦で負けないように頑張りたいです。そのあとに控えている大会は引退がかかっているので、悔いのないように日々練習していきたいです。
部活と勉強の両立、頑張ってくださいね。
◆国際理解教育◆
成蹊では教養と個性を備え、協調性を持ちながら自己開拓できる人材を育成するため、早い時期から世界に目を向けた教育を実施してきました。成蹊ならではの留学制度の充実もそのひとつです。アメリカのセントポールズ校とは1949年から、オーストラリアのカウラ高校とは1970年から交換留学制度を実施。成蹊独自の長期・短期プログラムや奨学金付きのプログラムなどが充実しています。
◆特色ある行事◆
「蹊祭(こみちさい)」は毎年秋に中高合同で開催している文化祭。自主性を育むために、生徒自身が企画して運営します。準備段階から本番まで協力しあい、手づくりのイベントを成功させることで、大きな達成感を得ています。
成蹊では高校2年生から文系・理系に分かれるのですよね。R.Yさんはどちらを選択されたのですか?
R.Y 理系です。海外だと理系科目の授業は進みが緩やかだと聞いていたので、先に勉強しておきたいと思いました。あとは純粋に理系科目の授業を受けて楽しいと感じたからです。
現時点では将来どういった仕事をしたいと思っているのですか?
R.Y 海外で活躍できる仕事がしたいです。特に貧困問題に関わる仕事に興味があります。理系と関係がないかもしれませんが、子どもたちに教育の機会を与える環境作りに興味があり、環境作りだったら理系で学んだことも活かせると思いました。
そのように思ったきっかけは何ですか?
R.Y 長い間、ベトナムなど東南アジアの発展途上国に住んでいて貧しい子どもたちを見ることが多かったのがきっかけですね。また、その後も旅行などで貧困問題を目の当たりにすることもあり、こういった問題を解決する一員になりたいなと思いました。
とても大きな仕事だと思います。それではY.Sさんにも聞きましょう。やりたいことは変わっていくかもしれないですが、現時点ではどんな仕事をしたいと思っているのですか?
Y.S 私は教育関係か医療です。正直、どちらにしようか悩んでいますがこれから選択していこうと思っています。
どうしてそのように思っているのか教えてください。
Y.S どちらの道も興味があるのですが、教育分野が気になった理由は、成蹊に入学したからだと思います。この学校は自分らしさを出せる雰囲気が全体的にあり、とにかく学校生活が楽しいのです。教師という道を選んで学校に戻るのも良いなと思いました。
素敵なお話をありがとうございます。お待たせしましたT.Sさん。将来やりたいと思っていることを教えてください。
T.S お金が好きでお金を動かすことにとても興味があるので、英語を強みにして海外や外資系の金融機関に入りたいです。
お金は大事ですからね(笑)。学校として卒業生や外部の方をお招きしてのキャリア教育なども行っているのですか?
Y.S はい。様々な人が成蹊に来てお話をしてくれます。10年後自分は何をしていたいか、どんな自分でいたいのか、などクラスで1人ずつ発表もします。成蹊はキャリア教育に対して積極的だと思います。
◆成蹊の進路指導について◆
一人ひとりの才能、個性を大きく育てるために進路指導部を設け、さまざまな情報を発信しながら生徒の目標の設定を支援、指導しています。
成蹊大学に約30%、他大学に約70%が進学しています。国公立、医歯薬系や芸術系への進学者も多く、分野的にも多彩です。
それでは最後に、帰国生入試を思い出してもらいましょう。 これから受験を控えている小中学生に参考にしてほしいと思っています。R.Yさんは中学受験ですね。どのように学校選びをしたか覚えていますか?
R.Y 一時帰国を利用して多くの学校を訪問しました。キャンパスツアーなどで学校の雰囲気を実際に感じることは大事だと思います。また、帰国生に対してどのようなサポートをしてくれるのかチェックすることも必要だと思います。
数ある学校の中で成蹊中高に決めた理由は何でしたか?
R.Y 国際学級があり、サポートが充実していたことがとても大きかったです。また、学校の敷地が広くて緑が多く、設備が充実しているところがとても魅力的に感じました。
それではY.Sさんにも同じことを聞きましょう。Y.Sさんも中学受験ですね。どのように学校を選んだか覚えていますか?
Y.S 英語の取り出し授業など英語の特別クラスが設けられているかを確認しました。また運動が好きなので運動ができる施設がたくさんある学校が良いと思いました。
やはり現地校やインター校に通っていた方は英語力の維持・伸長がポイントになりますよね。成蹊に決めた理由は雰囲気も合っていると感じたからですか?
Y.S はい、一時帰国で訪問した際、自分に合っていると感じました。また、入学してから感じたのは個性を尊重してくれて、自分の良いところを伸ばしてくれる学校だと思いました。
ありがとうございます。 T.Sさんは中学1年時の編入ですよね。編入の情報収集は、入試と違って大変ですよね。どのように学校を探したのですか?
T.S 家庭教師の先生や塾の先生とインターネットで調べました。
何をポイントに学校を探しましたか?
T.S 編入試験を実施しているか、帰国生向けのクラスがあるか、校舎、設備などが充実しているか。成蹊なら楽しく生活できそうだと思ったのでこの学校を選びました。
それでは最後に、現在海外で暮らしている後輩たちにメッセージをお願いします。
R.Y 海外ならではの学びは重要だと思うので、今の生活を楽しんでください。成蹊での学校生活はとても楽しいので期待して良いと思います。
Y.S 自分がやりたいことや目指しているものがあるときに、その可能性を自分で狭めないように全力で挑戦することが大事だと思います。
T.S 情報収集など、余裕をもって進めることをお勧めします。また、ネイティブの友人や、海外で知り合った友人とは、帰国後も繋がっていた方が良いです。英語力の維持や海外で何が起きているのか、どういう教育を受けているのか、など聞くことができます。
皆さん、熱いメッセージをありがとうございます。それではこれにて終了させていただきます。様々お話を聞かせていただきましてありがとうございました。
◆成蹊中高 募集要項◆
中学国際学級入試、中学2年生帰国生編入試、高校帰国生入試は、配布している参考問題例を、中学一般入試(帰国生枠)は、一般入試過去問題を参考にして、成蹊の傾向をつかんでいただければよいと思います。「進学ガイドブック」という冊子(HPにも掲載)に、傾向と対策や過去の入試データを掲載しておりますのでぜひご覧ください。
中・高ともに基礎を重視していますので、基本的な読み書きの問題や計算問題でのケアレスミスがないよう訓練しておくとよいでしょう。