こんにちは。それではまず、海外経験について教えてもらおうと思います。Y.Mさんは、日本の学年で言うと小学5年生~小学6年生夏までがアメリカのオハイオ州、そして小学6年生の夏の途中から中学2年生の3月まで、今度はカリフォルニア州での生活。合っていますか?
Y.M はい、その通りです。
同じアメリカとはいえ、生活の場が変わって大変でしたね。アメリカは州によって雰囲気・環境がだいぶ違うと思いますが、オハイオ州とカリフォルニア州、生活する上でここが良かったな、この生活習慣は素晴らしいな、と思ったことがあれば教えてください。
Y.M オハイオ州では、日本と比べて家や庭がとても広くて、妹達と広々遊ぶことができました。また冬の寒さがとても厳しかったことが印象的です。道路が凍って、移動が難しいときもありました。そこからカリフォルニア州に移動したら、冬でも暖かくて助かりました(笑)。
カリフォルニア州では日本で言うところの中学生だったわけですが、宿題はそれなりにありましたか?恐らく、小学校の時に経験したオハイオ州ではなかったのかなと思うのですが。
Y.M そうですね。アメリカの学年で言う5年生のときには宿題が全くなかったです。ただ日本の中学生の年齢になっていたカリフォルニアでは、辞書を使った調べ物など、それなりに宿題がありました。ただやはり、日本の中学生の宿題量と比べると少ない方だったと思います。
アメリカから帰ってきた帰国生は日本の宿題の多さにびっくりすることがよくありますね(笑)。それではA.Tさんにもお聞きします。A.Tさんは小学4年生から中学3年生の12月まで韓国のソウルでの生活だったのですよね。結構長いですね。JOBAにはソウル校があるので私は何度か仕事で行ったのですが、近代的な建物と昭和風な雰囲気の街並みが混在している印象でした。スターバックスがたくさんあったのも覚えています(笑)。ソウルでの生活で良かったなと思うところを教えてください。
A.T ソウルの中心を東西に流れる漢江(ハンガン)という川があって、その周りにある自然や綺麗な建物、サイクリングロードなどのスポットがとても好きでした。後は人によって好き嫌いがわかれると思いますが、ヒーヒー言っちゃうような辛い食べ物もソウル生活の良い思い出です(笑)。
JOBAソウル校のスタッフからはハングル文字は覚えやすいと言われたのですが、私には暗号にしか見えませんでした(笑)。韓国語は覚えましたか?
A.T はい、5年以上住んでいたのでさすがに(笑)。文字は基本を覚えてしまえば、簡単です。ただ、話すのは今でも難しいですね。
ありがとうございます。Y.Mさんは中学2年の終わりに本帰国ですから、中学3年生の1年間は日本の公立中学校ですか?
Y.M はい、そうです。近所の学校に通いました。
一般的には逆カルチャーショックなんて言いますが、日本に戻ってきてすぐに馴染めましたか?
Y.M 意外と違和感なくなじめました。アメリカでの転校も経験しましたし、新しい環境に溶け込めるタイプなのかもしれません(笑)。
切り替えのうまいタイプなのですね。
続いては、約1年前の入学時のことを思い出してもらおうと思います。入学後驚いたことはありますか?
Y.M 入学後すぐに思ったのは、生徒数が多い!ということです。いまだに知らない同級生もたくさんいます(笑)。
後は、入学初日に自分のクラスに入ると、みんなが単語帳を見ていて驚きました。「え、皆そんなに真面目なのか!(笑)」と。ただ、話してみるとみんなフレンドリーだったのでホッとしました。
いわゆるそんな、ガリ勉ばかりじゃなかったと(笑)。では入学時、嬉しかったことは何ですか?
Y.M アメリカ時代の友人と桐蔭学園で再会したことです。最初は緊張していて気付かなかったのですが(笑)。それも、生徒数が多い桐蔭ならではの体験かもしれません。学校生活ではっきりとした区別がないので実際の人数はわかりませんが、帰国生が少なくないのも嬉しいです。
入学後、学習面で困ったことはありますか?
Y.M 英語の文法が全然わからなくて困りました。現地で聞いた構文などをそのまま感覚で身につけていたので、あらためて勉強として「解く」となると、なぜこの構文にこの動詞が使われているのか理屈としてわからない、ということが結構ありましたね。
それではA.Tさんにも同じ質問をしますね。入学後、驚いたことはありますか?
A.T 私も生徒数や校舎が想像以上に広かったこと、行き帰りのバス停での人の多さに驚きました。
ここは本当に広いですよね。緑も多いので気持ちが良いです。また、バス停の人の多さは、桐蔭学園がマンモス校であることを実感しますよね。本数はとても多いのですぐ来るのですが、こんなに人がいるのかと私も思いました(笑)。では、入学時、嬉しかったことを教えてください。
A.T クラスの人数が韓国時代と比べて多く、たくさんの人に関われたことですね。なにより韓国から帰国したばかりで、日本に友達がいなかったので(笑)。たくさん新しい友達ができてとても嬉しかったです。
十人十色という言葉がピタッと合うのが桐蔭学園ですよね。では、入学後、学習面で困ったことがあれば教えてください。
A.T 学習内容というより勉強のリズムを整えるのが一番困ったことかもしれません。私は電車で2時間の長距離通学をしているので、慣れるまでが大変でした。
それでは勉強の話を少し詳しくお聞きしていきましょう。お二人とも数学が好きなのですよね。Y.Mさん、どの辺りが好きなのですか?
Y.M 答えが一つに定まっていることが、数学の好きなところです。答えを導き出した時のの爽快感や納得感が自分にとって気持ち良いんですよね。
そういうことですね。ではA.Tさんは数学のどの辺りが好きなのですか?
A.T 数Bがとくに好きで、国語のように著者の心情を読んで…なんてことはなくて、ただ論理に従って解法につながるのがいいなと思っています。
高校数学になると、とても論理的、普遍的になりますよね。二人とも頭が良いということがわかりました(笑)。それでは桐蔭学園高等学校の特徴ある取り組みについても聞いていきたいと思います。1年次から2年次に週に1回「未来への扉」という科目名の探究の授業があるそうですね。この1年の探求の授業で印象に残っていること、楽しかったことを教えてください。Y.Mさん、お願いします。
Y.M 未来への扉、みらとびの授業で僕達はそれぞれ「ゼミ」に所属して探究の取り組みを行なっていきます。僕は「マルチゼミ」という、社会や理科、教育、比較文化など、定型の枠組みにとどまらない内容を探究するゼミに所属しています。
そのため例えば、「カフェが…、ゲームが…」といったように様々な内容が同じゼミ内で聞こえてきます。去年の2月頃、途中経過の発表があったのですが、そこで色々な探究の内容を聞けたのが、印象的でした。
僕自身は有名なスマホアプリが今後どう成長していくのか、ということを様々なデータを集めて探究しています。例えば、過去にあったキャラクターのコラボレーションの関連性を分析するなど。少しマーケティングの要素もあるかもしれませんね。
他のゼミだと、「子供たちの公園離れを解消する方法」や、「売上の落ちているアイスメーカーを回復させる方策」など、真面目な内容もありましたよ。
僕の探求はちょっと遊び要素が強いかもしれません(笑)。でも、勉強一辺倒ではない、自分の好きな分野を深堀できるのが楽しいです。
面白いですね。ではA.Tさんにも同じことをお聞きします。「未来への扉」で印象に残っている授業、楽しかったことを教えてください。
A.T 私もマルチゼミに所属しているので、個々でやりたい内容を探究しています。私自身はうわさについての研究を進めていたのですが、周りから内容にだめ出しをうけたので、今後はテーマを変えることも含めて迷い中です。
「未来への扉」の、最終ゴールは自分の研究テーマをみんなの前で発表すること。それが約半年後なので急がないとです。先生に相談しつつ…、頑張ります!
A.Tさんはみらとび実行委員も務めているのですよね。実行委員の役割は何ですか?
A.T さきほどお話ししました、「みらとび発表会」の司会進行を去年務めました。緊張しましたが、様々な発表を目の前で見ることができ楽しかったです。
今年も周りを見てみると、ゆるキャラについて調べている子や、自分で音楽を作曲しどの音楽が人に影響を与えるのか、といったことを研究している子もいて、来年の発表がとても楽しみです。
◆未来への扉とは◆
知識基盤社会の中では、今までの当たり前が通用するとは限りません。新しく生まれてくる情報や技術が行動の基盤として更新され続けるこれからの時代は、これまで人類が経験したことのないスピードで変化が起こり続けます。
そんな社会では、自分で情報を整理し、体系立てて知識を組み、世界を分析して問いを立て、それを衆知の力で解決することが求められます。この基盤となる力を作るのが「探究」です。詳細はこちらからご確認ください。
次に英語の授業について教えてください。英語では多読学習をしているのですか?
Y.M はい。2週間に1回、図書館に行き、生徒それぞれ1時間弱、自分の読みたい英語の本を黙々と読んでいます。その中で僕は、数分で読み終えられる短編シリーズを読み進めていくのが好きです。
A.T 洋書の難易度を表す指標で「YL(読みやすさレベル)」っていうのがあって、私は低いレベルから順に制覇していく読み方をしています。YL0.6の本を読み切ったら、次は0.7…という感じで、達成感があるんですよ。
外部での英語研修についても教えてください。Y.Mさん、福島のブリティッシュヒルズの研修に参加したそうですね。どうでしたか?
Y.M 5月の頭に参加して英語漬けの4日間でした。ネイティブの先生から英語で歴史の授業を受けたり、簡単な劇をしたり。桐蔭の生徒50人ぐらいで参加したのですが、久しぶりに英語環境に戻ってきたなという感じがしました。英語をたくさん聞いているなって(笑)。 ただ、リスニング力はあまり衰えてはなかったですが、話すときに語彙力が下がっているなと実感しました。それはちょっとショックだったので、この先もこうした研修があれば、定期的に参加したいと思っています。
ありがとうございます。それでは英語以外の授業についても聞いていきましょう。
桐蔭学園では2015年度からアクティブラーニング(AL)型授業を取り入れているそうですが、ICTを活用してのペアワークやグループワーク、いわゆる「協働」学習は多いのですか?具体的にこういう風に授業が進んで行きます、といった例を教えてもらえますか?
教科は問いません。
A.T 基本的には、先生が問いかけた問いに対してまず個人で考えて、そのあとペアワークやグループワーク。そうして生徒同士の意見を混ぜ合わせるっていうのが、一般的な授業の形態です。いわゆる「協働」学習が多いですね。
たとえば、2年生になり地理の授業が増えたのですが、まずは自分で地図帳や図表を見て考えて、周りと意見を交わしていく進め方が、とても自分の学びになっているなと感じます。
ありがとうございます。それではY.Mさんもお願いします。
Y.M とくに数学や化学の計算系は、一旦それぞれで解いて、そのあと周りと「どう解いたか」「なぜそう考えたのか」というのを教えあう時間がたくさんありますね。ペアになって、話し合って、最終的には自分に落とし込んで振り返る。そんなルーティーンが出来上がっているのが桐蔭のとても良いところだと思います。 今思うと、アメリカの学校もアクティブラーニング型の授業だったと思うのですが、そことのギャップをほとんど感じることなく授業を受けられています。
なるほど、周りと「協働」して学んでいく。これからの時代を生き抜く上でとても大事だと思います。
◆アクティブラーニング(AL)型授業◆
桐蔭学園では2015年度からアクティブラーニング(AL)型授業を取り入れていますが、高等学校でもこれを進化させています。確かな知識を身につけつつ、「深い学び」を促すための工夫―小テストなどを用いたこまめな知識確認やペアワーク・グループワーク・プレゼンテーション、ふり返り、学習単元における本質を生徒・教員が共有するためのシラバスなどを活用して、バランスの良い学力を育てます。標準的な流れはこちらからご確認ください。
好きな学校行事も教えてもらいましょうか。Y.Mさん、いかがですか?
Y.M 学園祭(鵬翔祭)です。去年、僕はクラス企画の委員をしていて、みんなで遅くまで企画作りを頑張ったのが、良い思い出です。選択型ミステリーっていえばいいんですかね。選択肢が出てきて、片方を選ぶと、どんどんストーリーが進んでいく映像みたいなものを作りました。
とても面白そうな企画ですね。A.Tさんはどうですか?
A.T 私も学園祭です。教室内に時間制限のある中ゴールを目指す、障害物アスレチックを作りました。みんなで色々と工夫して、作り上げていくのがとても楽しかったです。
二人とも青春していますね、羨ましいです(笑)。Y.Mさんは大学図書館がお気に入りだとか。高校生でも使用できるのですか?
Y.M はい、そうです。開館時間内であればいつでも出入り自由なので、よく行っています。静かで勉強もしやすいので。とても広いので席がないという心配もないです。
それでは最後に高校入試のことを思い出してもらいましょう。Y.Mさん、受験校はどのように決めましたか?
Y.M 家からの近さ、校風、偏差値を中心に受験校を決めました。
なるほど。それで桐蔭学園の受験を決めたと。A.Tさんは、どういったポイントで学校選びをしましたか?
A.T 両親のすすめで決めました。私に合うと思う学校をいくつかピックアップしてくれていたので、その中で良いなと思った学校を選び受験しました。正直、桐蔭学園は家から遠かったのですが(笑)。でも選んでよかったなと思っています。アクティブラーニング型の授業も魅力的ですし、なにより生徒数が多くて色々な人と接する機会が多いことにとても惹かれました。
その辺りが合っていると思ったのですね。二人とも「プログレスコース」ですから優秀だと思うのですが、入試は英語・国語・数学ですか?それとも書類選考入試ですか?
Y.M 書類選考の一般入試B方式で受験しました。中学校で勉強を頑張って、それなりに成績がよかったので…、英検準1級も持っていますし。
A.T 私は英検準2級を持っていて、今は2級の結果待ちです。
私も桐蔭学園には書類選考で出願しました。ただ、他にもいくつかの学校を受けたので、受験勉強も頑張っていましたね。
海外に住んでいる後輩に受験準備のアドバイスがあればお願いします。
Y.M 自分の反省点なのですが、できるだけ早く受験準備を始めたほうがいいですね。僕は本当に準備不足で…、9月になってやっと5教科の受験勉強を始めたのですが、公立の受験は落ちてしまいました。とくに帰国生は日本の勉強になれていないことが多いと思うので、遅くとも夏には受験準備をスタートさせておきましょう(苦笑)。
A.T 海外に住んでいると、どうしても日本人のコミュニティーや所属する学校の規模は小さいものになると思います。たとえば日本人学校など、その中で成績が良いからと鼻を高くしていると困ったことになるというのが私の実体験です(笑)。
なるほど(笑)。帰国生ということに加えて、コロナ禍での帰国や勉強というのも大変でしたよね。現地、また日本に戻ってから、コロナによる制限などは受けましたか?
Y.M 帰国が2020年の3月なので、コロナの真最中でした。転入したのは公立の中学校でしたが、4月・5月はほぼ家での学習で、6月ぐらいから少しずつ授業が始まりました。
クラスメイトにも6月になってやっと会い始めましたね。ただ、日本にいた小学4年生までの友達が同じクラスにいたので、溶け込みやすかったです。
A.T 私はその時はまだソウルにいたので、日本の様子はよくわからないのですが、現地でも様々な生活の変化があり大変でした。お店に入るごとに、QRコードによる入店証明をしたり、電話番号を書かされたり。韓国全体でしっかりした管理体制がしかれていましたね。
それでは本当に最後に、ご自身の今後の展望や、海外に住んでいる後輩に伝えたいことがあれば教えてください。
Y.M はい。ぼんやりとですが、将来は教育関係の仕事に就きたいなと考えています。具体的には学校の先生ですね。カリフォルニアにいたときの先生が優しく、難しい内容をわかりやすく教えてくれたのが、とても印象的でした。自分もそうなれたらなぁと思っています。
海外に暮らす後輩には、現地の友達をたくさん作ってほしいですね。今はSNSもあるし、帰国してもつながり続けられますしね。また海外現地で英語に触れることができるのはとても貴重なことです。ぜひその英語力を様々な場所で発揮してください!
A.T 私は商品のマーケットなどに興味があるので、経済学部、商学部あたりにいきたいなと思い文系コースを選択し、勉強しています。具体的な将来はまだ見えていませんが、これから調べていきたいなと思います。
後輩に伝えたいのは、自分が行動した分だけたくさん将来につながる良い経験ができるということ。行きたいと思った場所に行き、やりたいと思ったことをぜひやってくださいね!
◆桐蔭学園高等学校 帰国生入試・海外子女入試◆
2023年度入試についてはこちらのページをごらんください。