メニュー
JOL会員登録 ボタン
無料教育相談 ボタン
帰国子女枠大学受験 質問集 モバイル用写真 帰国子女枠大学受験 質問集 PC用写真
海外の成績と受験に向けての学習についての質問 > 息子が小学校6年のときにイギ...
海外の成績と受験に向けての学習についての質問

Question

息子が小学校6年のときにイギリスに赴任して、3年が経ちます。息子は現在アメリカンスクールに通っています。滞在期間はまだ伸びそうです。こちらでは、アメリカンスクールの学習に重点を置いているため、日本語力をどのようにキープしていけばよいか不安です。英語の力と日本語の力がそれぞれバランス良くとれていて初めてバイリンガルと言えると考えています。どのように日本語力をキープさせたらよいでしょうか。塾に通う、通信教育をやる、本を読む、新聞を読む、日本語で会話する、漢字の勉強をするなどいろいろ考えられると思うのですが。

Answer

本当のバイリンガルになれるのは一握りの人であるというお考えについて、全くその通りだといつも感じております。また、本当のバイリンガルとはどんな状態をいうのかについても、時折考えさせられることがあります。
たとえば、大学入学以前の人生のすべてまたは大半を英語環境で過ごし、完全に英語が第一言語になっている生徒を時折見ます。そうした生徒の中で、日本語でも見事な小論文を書くことができる者がいますが、本人は英語の方が書けると思っているわけですから、日本語小論文に対して苦手意識があり、実際に漢字や細かな語法には修正すべき点があります。しかし、大学入学以前の段階としては第一級の小論文であることに代わりはありません。


第一級である所以は、主に考察のレベルの高さ、文や段落の構成の複雑さ、正確さ、教養の高さにあります。これらは日本語力以前に、英語で培われた能力に拠っているわけです。
こうした生徒は、本人としては日本語力に不自由を感じているため、自分のことをバイリンガルとは考えていないわけですが、読解力、論述力という点では日英双方で非常に優れた力を持っているわけです。帰国生の中にバイリンガルと呼ばれ得る者がいるなら、こうした生徒がまずそれに該当するだろうと考えます。
一方、逆に日本語環境である時期まで(中学入学までとか、中学終了まで)学び、その後英語環境で数年間学んだ生徒にも、日英双方で優れた力を持っている者がいます。こちらは第一言語は明らかに日本語で、やはり漢字は多少弱いですが、数ヶ月の学習で何とかなります。一方、英語は、国内の高校生とは比べものにならないレベルでありながら、読解の正確さにおいてはまだ不十分と感じられる点があります。これは数ヶ月で何とかなるとはいきませんが、文法的な理解が行き届いている生徒なら、大学生のうちに見事に成長します。
こうした生徒も、その成長した段階では、立派にバイリンガルの名に値すると思います。
いずれも、第一言語がどちらであるかがはっきりしているケースです。そうでない生徒の場合には、どちらも中途半端であると感じられることが多く、それが成長過程であるからそう感じられるだけであってその後数年のうちにそうではなくなるのか、それともいつまでもその状態をひきずるのかについてはよくわかりません。
いずれにしろ、はっきりしていると思うのは、どちらかの言語で年齢相応の読解力や思考力や表現力や教養を持っていれば、もう一方の言語でも努力次第でそれに近い能力を発揮できるということです(発音や聞き取りについては少し別の角度から考えてみる必要がありますが)。この点で、英語環境にいながら言葉の壁により年齢相応の学習・精神活動をせずに済んでしまった多くの帰国生が問題を抱えています。
しかしそれでも大学に合格することはできるわけで、バイリンガルかどうかということと大学合格とは当然別の問題です。
お子様のケースでも、大学受験前の3ヶ月程度集中してやればキャッチアップできるというのは、大学合格に対してもお話であって、バイリンガルたるに十分な日本語力を得るということとはまったく別です(大学合格に対しては、お子様の個別の状況や、受験大学・学部学科などによては、本当に3ヶ月だけでいいのか改めて考える必要があります)。
十分な日本語力を得る、という点では、お子様の日本語力の現状について確認しないと、何とも言えないところがあります。日本語で年齢相応の本が読み通せるのなら、今心配されるべきことは特にないと思います。今後、年齢に応じて読めるもののレベルを上げていくだけで、今の環境で出来ることとしては十分だと考えます。
お父様からご覧になると、漢字の力が不安に思われるでしょうが、書けないのは当然ですので、読めて意味がわかれば(つまり年齢相応の本が読み通せれば)問題ありません。読めて意味のわかるものが読書等を通じて少しずつでも増えていれば、書く練習は帰国後でも何とかなるでしょう。
一方、日本語での読書に強い抵抗感があるような状況であれば、特にどんな点に問題が生じているのかきちんと調べ、対策を講じる必要があると思います。
このお返事だけではあまり具体的な学習法について触れることができず申し訳ありませんが、お書きいただいた「塾に通う、通信教育をやる、本を読む、新聞を読む、日本語で会話する、漢字の勉強をする」の中では、もし現時点で問題のない状況なら、会話や漢字より「本を読む、新聞を読む」の方が有効だと思います。
具体的なお子様の状況や学習法につきましては、引き続きお問い合わせいただければと思います。
お子様のケースでは、頑張って良い成績を上げられているなら、先に述べた「どちらかの言語で年齢相応の読解力や思考力や表現力や教養を持っていれば」という条件を満たされているものと推測できますが、この点も詳細に検討する余地はあります。つまり、英語圏の現地校で特に見られるのですが、成績の良い日本人でも言語能力という点で不十分ということが時折あり(理数系科目で成績を引っ張っているなど)、こうした場合に日本語力の向上も難しいことがあるからです。
2006年2月にいただいたご質問への回答

ページの先頭へ戻る