中学生の息子の進路で迷っています。帰国時期も決まっていませんし、まだ先のことですが、大学は日本の大学をと望んでいます。帰国子女の受験については、高校受験よりも大学受験のほうが有利という声をきいたのですが、どうなのでしょう。また、大学受験時には日本を離れて数年経ってしまっていますが、日本語力が落ちたままでも合格できるのでしょうか。
帰国枠の大学受験は、高校での日々の学習が充実してさえいれば高校受験に比べ、受験用に特別な努力をしなくても有名校に受かりやすい傾向があると言ってよいと思います。その意味で、一般的には大学受験の方が有利です。
ただ、高校受験で大学の付属校・系列校を考える海外の日本人学校の男子生徒であれば、早稲田・慶応を視野に入れることが多いと思いますが、大学受験においてこの2校は他の私立大と難度が全然違います。その違いの大きな点は、統一試験結果や高校時代に培った英語力が合否を直接左右してしまうということです。特に慶応の方がその意味で厳しく、基本的に大学入学資格試験(アメリカのSAT1・2など)で高いスコアを取っていないと合格可能性は全くありません。早稲田はそれに比べ、大学で実施する筆記試験が大きな位置を占めますので、SATなどのスコアで合否がほぼ予測できてしまう慶応に比べ受けやすいですが、筆記試験の英語はSATと同趣旨のものですので、結果的にSATなどのスコアが高い生徒が合格しやすいことになります。
早慶以外の大学については、入試当日の英語の読解力と日本語小論文が重要になります。日本語小論文は、日本語環境を離れて高校生活を送ってきた生徒ばかりでの競争ですから、日本語の表現力が多少落ちるのは当然で、どんな内容が書けるかが重要です。より具体的には、大学で専門的な勉強をするのにふさわしい理解力・思考力があるかどうかが問われます。したがって、高校時代の日々の学習を通してそうした力が磨かれていれば、早慶以外の私立大に対しては十分合格可能性があります。もちろん、日本語小論文は受験前には練習する必要があります。
2006年3月にいただいたご質問への回答