今夏アメリカへの再赴任が決まり、高2になる娘も帯同します。娘は2年間現地校に通い、その後日本の大学を帰国子女枠で受験することを希望しています。最初の赴任の際、娘は1歳から7歳までニューヨークで過ごしましたが、あまり英語力には関係ない年齢でした。娘は、もう一度アメリカに行きたいと希望していたのでよい機会だと思う反面、不安もあります。娘の英語力は準2級程度です。AT対策や現地校での授業を調べれば調べるほど不安になりました。渡米前にやるべき事がありましたら教えて下さい。
高校生で外国語環境に入って学ぶ場合、その環境に入る前の語学力(母語を含めて、言語能力と呼んだ方がよいかもしれません)でその後の学力がかなり決まってしまいます。日本の中3終了までに習う構文・文法事項が使いこなせるようになっていない場合は、英語の伸びは非常に不十分なものとなり、その結果教科の学力も学年相応に伸びずに(というより、高校生らしい授業を履修できないまま)卒業となります。また、日本語の文章(特に論説文)の読解力が年齢相応についていない場合、英文法の基礎力をつけてアメリカに行ったとしても、英語での読解力はTOEFL程度の比較的易しい文章に対しても内容が把握できないという結果になってしまいがちです。
したがって、現時点では、中3終了までに習う構文・文法事項が使いこなせるか確かめ、不足している部分は徹底的に学習することが大事です。使いこなせるかどうかは、和文英訳問題を解かせれば明らかになります(難関高校入試レベルの和文英訳問題がきちんとこなせるかということと、英検準2級取得との間には、ほとんど関係がありません)。
JOBAで現地校・国際校への編入のための準備の授業を行う場合も、たいていの場合、中3~高1レベルの和文英訳を授業の一つの柱としています。また、日本語で文章をたくさん読んだり、高校での学習をきちんと行っていくことも重要です。この年齢ですと、特に2、3年という短期間の留学では、日本語でわかることを手がかりに英語で表現された内容を理解するという部分が大きく残るからです。日本語で文章を読むことは、英語環境に入ったあとも(当初の数ヶ月は完全に英語漬けでも良いと思いますが)継続されるべきです。
さらに、2年間という短期間である程度成果を出さねばならないことを考えると、聴き取りや会話の準備もある程度行っていって、高校生活にできるだけ短期間で馴染めるように図ることも重要でしょう。上記2点のような決定的な影響力はないとは思いますが、聴き取りや会話は特に準備していかず、馴染むのに半年かかるという場合と、準備していって3ヶ月で馴染むという場合では、そのあと力を伸ばすために残された期間に大きく差が生じるため、結果的にどの程度伸ばせるかが違ってきます(留学2年目というのは、英語力はもちろん、学習においても、生活上の経験においても、伸び盛りだからです)。
Update: '09年3月14日
2007年4月にいただいたご質問への回答