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【JOBA 日本本部より配信】
【高校生・大学受験生対象】
JOBA 通信 2022/02/04 号
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このメールは、JOBAの講習会を受講してくださった高校生の生徒の皆様、高校生メールマガジン購読のご登録頂きました皆様にお送りしています。
保護者の皆様におかれましては、このメールの内容をお子様にお伝えいただければ幸いです。
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目次
■ 大学受験ワンポイント情報(45)
2022年度帰国生入試問題分析(1)
早稲田大学・小論文B
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いよいよ2月に入りました。
国内高校生は言うまでもなく、帰国生の4月入学試験終了も間近になりました。
2022年4月入学試験が終了すれば、いよいよ2023年4月入学試験準備が始まります。
卒業学年を迎えた海外高校生、まもなく卒業学年に入る国内高校生のみなさん。
次はあなた方の順番です。
これまでは少し他人事であった受験に強い当事者意識を持つことを自覚してください。
当事者意識の意味は、勉強だけにとどまりません。
そこでまずは試験に向けたスケジュール表を作成することをお勧めします。
頭の中だけではなかなか具体化しにくい入試のイメージが見えてくるはずです。
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■ 大学受験ワンポイント情報(45)
2022年度帰国生入試問題分析(1)
早稲田大学・小論文B
大竹文雄著『競争社会の歩き方』中公新書(2017年)を出典とした「合理的無知」に関しての説明と問題点を論述する問題でした。
この用語は政治経済学で有権者の投票行動を特徴づける用語としてアメリカの政治学者であるアンソニー・ダウンズによって造られたものです。
問題文では以下の点が指摘されています。
・民主主義の根幹である選挙は民意を正しく反映するのか(問題提起・主題)
・一票の重さが政策決定に大きな意味を持たないことを自覚すると、有権者のとる方法は、棄権するか/情報収集の手間をかけずに投票するかのいずれかになる
・損(わざわざ時間や費用をかけて投票する)を避けた投票行動を支える考え方が「合理的無知」である
・合理的無知に基づく有権者が投票行動にバイアスを持たなければ、熱心な有権者の意見が政治に反映される(民意が反映される)考え方が成り立つ
・実際に選挙の勝ち負けを決める鍵は中位者に支持される必要があり、日本社会では中高年層がそれにあたる
・中位者に特有の関心(例えば社会保障の充実)を訴えることにより、中位者のバイアスを過度に強調する選挙戦略を訴える候補者が有利になる(全体の民意は反映されない)
・「合理的無知」という傾向が存在していて、そこに有権者の選好バイアスが加わると政治がわたしたちの生活を良くするとは限らないことになる(結論・主張)
設問は2問です。
(1)下線部「このような有権者の行動は「合理的無知」と呼ばれている」とあるが、「合理的無知」とは何か。150字以上、200字以内で説明せよ。
(2)筆者の指摘をふまえつつ、「合理的無知」が引き起こす問題を具体的に明らかにした上で、どのように対処すべきかについて、あなたの考えを具体例を交えながら400字以上、500字以内でまとめなさい。
(1)が課題文のキーワードである「合理的無知」について、文章中の具体例を除き、簡潔に整理して文章にするものです。課題文型小論文の基本である文章読解の学習をすることでほぼ正解できるはずです。
(2)については、<一般化した問題=選挙に民意が反映されない>と<具体化した問題=中位者のバイアスに選挙結果が影響され政策に偏りが出る>を結びつける解答が求められます。その上で、問題解決の方策について自分の考えを論述します。
さてこれを読んだ皆さんは、どのような対処方法を書きますか?「これだ!」と思いついたら、まずは文章で書き始めてみてください。
問題文で使用されている書籍は新書版ではありますが、高校生が読むというよりむしろ大学の授業で使用するテキストや参考図書の部類に入るかもしれません。
ふだんからさまざまな新書(岩波新書、中公新書、講談社現代新書、PHP選書など)を読む習慣を身につけることは、大学入試小論文対策の一つと言えます。
過去の入試問題で扱われた新書でかまいません。自分が興味あるものを選んで読むことを心がけてもらえたらと思います。
参考URL
https://www.waseda.jp/inst/admission/assets/uploads/2022/01/99_2022_kikoku-gaikoku-kyotsu_shoronbun-B.pdf(最終閲覧日:2022年1月25日)